昭和歌謡文化の輝きを後世に繋ぐことが、本会の目的です

第11回研究発表会(2017/8/21)

第十一回 昭和歌謡文化継承委員会 研究発表会

Maihama,Summer of Love

 

◆日時

2017.8.21 SUN  OPEN 16:30/START 17:30

 

◆会場

『SPA&HOTEL 舞浜ユーラシア  6F宴会場プリューム』

千葉県浦安市千鳥13‐20 舞浜駅北口よりシャトルバスで約5分

047-351-4139

 

◆出演者

仲村瞳(ボーカル)、タッキー(ボーカル)、サリー久保田(ベース)、国吉静治(フルート)、中森泰弘(ギター)、中山努(キーボード)、笹井享介(ドラムス)、松本健一(サックス)、井谷享志(パーカッション)、東陽片岡(総合司会)

◆参加費

お一人様 ¥10,000 飲み放題&軽食(ビュッフェ)付き

 

■セットリスト&曲解説■

 

 

『天使の誘惑』

昭和 43 年 5 月発売   歌:黛ジュン

作詞:なかにし礼 作曲・編曲:鈴木邦彦

レーベル:東芝音楽工業

昭和43年の『第10回日本レコード大賞』を受賞。黛は、同名映画『天使の誘惑』(昭和43年7月公開/松竹)の主演に抜擢され、その後、女優としても人気を集めるようになった。奥村チヨの“ 恋3部作”でもお馴染の、作詞家なかにし礼作曲家・鈴木邦彦の名コンビによる楽曲で、このコンビは、デビュー曲『恋のハレルヤ』(昭和42年)から黛の楽曲を数多く手掛けている。あがた森魚、坂本冬美、ASKA、原由子、一青窈など、多くのアーティストがカヴァーしている、世代を越えて人気の高い曲である。平成28年4月にも、『RECORD STORE DAY』(世界的な音楽の祭典)の限定品として”井の頭レンジャーズと小島麻由美”がカヴァーし、好評を博している。

 

『モンロー・ウォーク 』

昭和 54 年 6 月 歌 : 南佳孝

作詞:来生えつこ  作曲:南佳孝  編曲:萩田光雄 レーベル: CBS ソニー

昭和 54 年発売のアルバム『speaklow』の1 曲。昭和55年に、郷ひろみが『セクシー・ユー』という曲名で、33枚目のシングルとしてカバーしている。「モンロー・ウォーク」というのは、もちろん、マリリン・モンローの特徴的な歩き方のことだが、当時の郷ひろみのファン層には、その意味がわからなんじゃないかということで、曲名が変えられたのだとか。そのことを作詞者の来生えつこが大激怒したというエピソードがある。南は、『モンロー・ウォーク』を発表したのち、海外での音楽遊学のため、その間の収入源として、同じレコード会社所属だった郷ひろみに同曲を歌ってもらい大ヒットを得た。この名曲は、「風呂上りに15分ぐらいで出来た」と南は語っている。

 

 

『真赤な太陽』

昭和 42 年 5 月発売 歌:美空ひばり

作詞:吉岡治 作曲:原信夫

編曲:井上忠夫 レーベル : 日本コロムビア

昭和42年3月に発売された『ブルー・シャトウ』で大ヒット中であった、“ ジャッキー吉川とブルーコメッツ”と美空ひばりが組んだ曲。グループ・サウンズ(以下GS)の演奏で、国民的スターが歌い、140万枚の売り上げを記録した。GS黄金時代を象徴する1曲でもある。当時、  ”ジャッキー吉川とブルーコメッツ”の演奏力はGSの中でもずば抜けていた。美空ひばりは、当時30歳。流行のミニスカートをはき、ゴーゴーダンスを踊って歌うなど、それまでのイメージを一新する演出が大きな話題を呼んだ。もともと、芸能生活20周年記念アルバム『歌は我が命~美空ひばり芸能生活20周年記念』に収録するために製作された曲であったが、スタッフや母の加藤喜美枝の評判が高く、アルバムからシングルカットに変更されたと伝えられている。

 

『真夏の出来事』

昭和 46 年 5 月発売 歌:平山三紀

作詞:橋本淳 作曲:筒美京平

編曲:筒美京平 レーベル:日本コロ厶ビア

神奈川県三浦市の油壷が舞台とされる曲だが、歌詞にそれらしい描写が出てこない。しかし、歌詞に出てくる「さいはての町」こそが「油壷」のことだと、作詞を手掛けた橋本淳自身が証言している(平成21年8月21日土曜朝刊『be』)。橋本淳は、筒美京平の1年先輩で、青山学院高等部の頃から親交があり、大学時代はジャズバンドを組んでいた。それだけに、まさに阿吽の呼吸で生まれた曲の数は、約 600 曲にもおよぶ。演歌全盛の時代からポップスへ、昭和の歌謡界に革命をもたらした名コンビである。 平成28年7月、『真夏の出来事 〜 ナウ・アンド・ゼン』(編曲・演奏 : サ・サーフコースターズ)という新しいタイトルで、平山自身がセルフカヴァーしている。是非、筒美の編曲と聴き比べてみて欲しい。

 

『エスカレーション』

昭和 58 年 6 月発売 歌:河合奈保子

作詞 : 売野雅勇 作曲 : 筒美京平

編曲 : 大村雅朗 レーベル:日本コロムビア

河合奈保子が13枚目にリリースしたシングル曲。この曲で、髪をショートカットにて、イメージチェンジした。作詞した売野雅勇は、中森明菜の『少女A』や郷ひろみの『2億4千万の瞳』、チ ェッカーズの『涙のリクエスト』など多くの曲を生み出しているヒットメーカー。河合奈保子は、西城秀樹の妹募集オーディションで優勝し、昭和 55 年(1980年)に『大きな森の小さなお家』で歌手デビュー。アイドル全盛期、80年代のトップアイドルの 1 人であった。現在はオーストラリアで専業主婦として過ごしているが、今もなお根強い人気を誇る。平成28年8月31日には、デビュー当時からの写真を集めて掲載した 写真集『再会の夏』と、 DVD 『河合奈保子ライブ・ベスト ~けんかをやめて~』が同時発売された。

 

『夏ざかりほの字組』

昭和 60 年 7 月発売 歌: Toshi & Naoko

作詞:阿久悠

作曲 : 筒美京平 編曲:新川博

レーベル:キャニオン・レコード

歌の Toshi &Naokoは、 田原俊彦と研ナオコのこと。当時、『カックラキン大放送 !! 』(日本テレビ系列)などで、頻繁に競演していたふたりが意気投合して実現したデュエット曲。阿久悠と筒美京平が、岩崎宏美の初期作品以来、久しぶりにコンビを復活した曲でもある。田原俊彦と研ナオコは、同曲の発売から19年ぶりとなる 平成 16 年にも『恋すれどシャナナ』(ディスワン)で再びデュエット曲をリリースした。 『夏ざかりほの字組』は、 平成24年に発売された『筒美京平 GOLDEN HITSTORY ~卒業~』(オムニバスアルバム)にも収録されている。 編曲を手掛けた新川博は、カルロストシキ&オメガトライブの『アクアマリンのままでいて』や、荻野目洋子の『六本木純情派』など、多くの名曲を仕上げた名手。

 

 

『蒼い星くず』

昭和41年4月発売 歌:加山雄三

作詞:岩谷時 作曲 : 弾厚作  編曲: 森岡賢一郎

レーベル: 東芝EMI

加山雄三の楽曲を代表するような馴染のある曲だが、以外にも『夕陽は赤く』の B 面として発表されている。 若大将シリーズ7作目の東宝映画『アルプスの若大将』の挿入歌。 演奏は、当時のエレキブームを象徴する”寺内タケシとブルージーンズ”が担当。”寺内タケシとブルージーンズ”は、『君が好きだから』(『海の若大将』挿入歌/昭和40年)。『夜空の星』(『エレキの若大将』/昭和40年)でも、活動を共にしている。 平成29年3月に加山の生誕80周年を記念して、スチャダラパーや“ 水曜日のカンパネラ”など、総勢13組が参加した名曲リミックスアルバム『加山雄三の新世界』が発売された。その中で、”ももいろクローバー Z ”が『蒼い星くず』をヒップホップ調に歌っている。

 

『夕陽が泣いている』

昭和41年9月発売  歌:ザ・スパイダース

作詞・作曲:浜口庫之助 編曲:ザ・スパイダース、チャーリー脇野

レーベル:フィリップス・レコード

ザ・スパイダースの主演映画『涙くんさよなら』(昭和41年/日活)の挿入歌。シングルは、約120万枚を売り上げる大ヒットとなった。B面の『チビのジュリー』(作詞作曲:浜口庫之助)は、GSファンのなかでも評価の高い隠れた名曲である。A面は、堺正章、B面は井上順がメインボーカルを担当。昭和の歌謡界を代表する天才ソングライター浜口庫之助の存在感もさることながら、編曲のチャーリー脇野に興味が湧く。脇野は、美空ひばりの専属バンド“ひばり&スカイ・オーケストラ”の元バンドマスターであり、鶯谷の『ダンスホール新世紀』を開業の頃から20年以上支え続けたメインバンド“チャーリー脇野とゲイポップス”の元バンドリーダーだった人物である。現在86歳、まさに昭和歌謡の生き字引!

 

 

『夏模様』

昭和 58 年 6 月発売 歌:柏原芳恵

作詞:微美杏里 作曲:松尾和彦

編曲: 萩田光雄

レーベル : フィリップス・レコード

柏原芳恵といえば、皇太子徳仁親王(こうたいしなるひとしんのう)が熱烈なファンだったことでも知られているアイドル。その代表曲といえば、「♪紅茶のおいしい喫茶店 〜 」で、お馴染の『ハロー・グッバイ』(昭和56年/作詞:喜多条忠 作曲 : 小泉まさみ)。柏原芳恵は、当時のアイドルとしてはめずらしく秋や冬がよく似合う、どこか哀愁を感じさせるイメージを持っていた。その中で、 16弾目のシングル『夏模様』もやはり、夏の曲といえども、晩夏のもの寂しいムードが伝わってくる。この歌の主人公は、彼と別れたあの夏の日を回想するというせつなさ。作詞の微美杏里は、ビビアン・リーの名をもじって付けられた、女優の藤真利子の作詞家としてのペンネームである

 

『あなただけを』

昭和 52 年 6 月発売 歌:あおい輝彦

作詞:大野真澄 作曲:常富喜雄 編曲:惣領泰則

レーベル:テイチクエンタテインメント

あおい輝彦は、いまでこそ俳優としての印象が強いが、声優としても歌手としても、超一流のパフォーマンスを発揮している。もともとは、男性アイドルグループの元祖“ジャニーズ”のメンバー(青井輝彦)であった。『あなただけを』は、あおいのソロ歌手としての華々しい実績のひとつで、同曲で、紅白歌合戦初出場を果たす。作詞の大野真澄は、『学生街の喫茶店』でお馴染のグループ“ガロ”のボーカルで、作曲の常富喜雄は、ニューミュージックという言葉が初めて使われた伝説のグループ  “  猫”の元ギタリストである。さらに、編曲は、『第1回合歓ポピュラーフェスティバル ‘69』でグランプリを獲得したグルー プ  “ シング・アウト”(かつて石川セリも在籍)の元リーダー惣領泰則という、超コアな顔ぶれ。

 

『海岸通』

昭和 50 年 6 月発売 歌:風

作詞・作曲:伊勢正三 編曲:瀬尾一三

レーベル:日本クラウン

元“ かぐや姫  ”伊勢正三と元 ““猫”の大久保一久によるフォークデュオ『風』のオリジナルアルバム『風ファーストアルバム』に収録された一曲。同アルバムの参加ミュージシャンは、松任谷正隆(編曲/キーボード)、山下達郎(コーラスアレンジ)、大貫妙子(コーラス)、山本潤子(コーラス)、吉田美奈子(コーラス)、細野晴臣(ベース)、後藤次利(ベース)、伊藤銀次(ギター)、羽田健太郎(キーボード)、林立夫(ドラムス)などなど。“ティン・パン・アレイ”と“ハイ・ファイ・セット”と“シュガーベイブ”がセッションをしているような豪華なバンド構成になっている。『海岸通』は、イルカのシングル曲(昭和54年カヴァー)としても有名だが、もとは、伊勢が「全編新作書き下ろし」 にこだわった珠玉のアルバムの一曲なのだ。

 

『夏の夜のサンバ』

昭和 47 年発売 歌:和田アキ子

作詞:阿久悠 作曲・編曲:森田公一

レーベル: RCA

“和製リズム・アンド・ブルースの女王”の名に相応しく、和田アキ子のソウルフル な魅力が最大限に生かされた名曲。軽快な  イントロに、「♪ AH~  ギラギラ太陽が沈んだら男と女はハッシッシ」という歌い出しが印象的。「ハッシッシ」とは、大麻樹脂のこと。 1967 年(昭和42年)の夏、サンフランシコから巻き起こった社会現象“Summer of Love”におけるヒッピーカルチャーが日本の歌謡界にも影響を与えたと感じさせてくれる。平成 28 年 7 月に発売されてヒットした“m-flo lovers Akiko Wada”の『HEY!』(和田アキ子と m-flo のコラボ曲)は、『夏の夜のサンバ』と『卒業させてよ』(昭和46年)と『バイバイアダム』(昭和43年)をサンプリングしたファンキーな仕上りになっている。

 

 

『ゴールデン・ハーフの太陽の彼方』

昭和 47 年 5 月発売 歌:ゴールデンハーフ

作詞:タカオカンベ  作曲:リー・へイズルウッド 編曲:川口 真

レーベル:東芝音楽工業

1963 年にアメリカのロックンロールバンド“TheAstronauts”のファーストアルバム『Surfin’With The Astronauts』の中の『Movin’』(インストゥルメンタル)が原曲。アメリカではシングルカットもされていないマニアックな曲だが、なぜか日本で、昭和39年にシングルカットされて、当時の洋楽の年間チャートで5位に入るヒットとなった。このメロディに、日本語の歌詞をつけて、昭和39年に藤本好一がシングルをリリースしている。演奏は、“寺内タケシとブルージーンズ”が担当した。さらに、昭和 47 年にゴールデン・ハーフが、『ゴールデン・ハーフの太陽の彼方』としてカヴァーしてさらなる大ヒットとなった。当時、かなりの人々が「♪ノッテケノッテケ」と口ずさんでいたはずだ。

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